うちの両親、一見すると普通の親なのですが…実はとんでもない毒親です。
娘である私を束縛し、必要以上に過保護に育て、ひとりで生きる力を奪い、いつまでも自分たちの支配下に置く…嫁に出て、客観的に自分たち親子の関係を見て、そのことに気づいた時は愕然としました。
でも、うちの子供たちに発達障がいが見つかったことで、両親は私の子育てにあまり口を出さなくなりました。発達障がい児の子育て自体は大変だったけれど、結果的に毒親の干渉から私を守ってくれたのですから、子供たちには本当に感謝しています。
その後は私自身も癒しが進み、ある程度自分を保てるようになり、今は両親とも程よい距離をキープできています。
そんなうちの両親は、花の種を作る農家です。お花を作って出荷する農家とは違って、毎年納める種の量が決まっていて、決められたノルマ分をきっちりと納めなければいけません。質の良い種を作るために技術も必要です。その代わりにノルマ分をきちんと納めれば、農家としてはかなりの安定した高収入を得ることができます。
でも、このノルマがずっと両親を苦しめていました。不作などの失敗が許されない状況なわけで…ビニールハウスの様子を常に気にしなければならず、旅行なんて全然行けませんし、天候不順とか、台風とかにもいつも頭を痛めていました。
近頃はだんだん両親も高齢になってきて、体もあちこち悲鳴を上げ始めていました。そろそろ種作りを辞めたい…最初に言い出したのは母の方だったようです。
でも、長年ずっと任されてきた種作りの仕事。技術も必要で、簡単に辞めるとは言えない…というのが父の言い分。うちの親は父のほうに権限があるので、母は仕方なく…悲鳴を上げている体に鞭打って、種作りを続けていたようです。
そんな矢先、母の体に異変が。全身に激痛が走り、数日間夜も寝られなかったそうで…整形外科で診てもらったら、何と首の骨が曲がっていたそうです。コルセットを装着した痛々しい姿の母を見て、父も思うところがあったようで。今手がけている種を納めたら、もう辞めようか…と母に伝えたそうです。
でも、そのことを納め先の農家さんに申し出たところ…今辞められては困る!後を継ぐ人ができるまでは、頑張ってもらえないか?と頼まれて…父は、了承してしまったそうです。母は…呆れたそうです。
結局、花の種作りを続けることになってしまいましたが、もうすぐ80歳になる両親。そろそろ引退を考えた方が…って、思いますよね。
そんなある日、突然母親から電話が。父親が大量に下血をして、病院に運ばれたとのこと!
とりあえず命に別条はなく、調べてもらったらあまり大きな病気ではなかったようで。今後の生活習慣を見直しながら、様子を見て大丈夫とのことで…ホッとしました。
でもこれは、もういい加減に仕事を辞めなさい!というサインですよね。母も今回は父を説得したようですし、父も受け入れたようです。納め先の農家さんは、今回も引き留めたようですが…自分たちの体のほうが大事!今回は父もキッパリとお断りをしたようです。
そして先日、ようやく最後になる種を納め終え、両親は種作りから引退しました。
今回は素直にサインを受け取った両親。もし今回もサインを無視して、種作りを続けていたら…さらなる試練が待っていたかもしれませんね。